6年目を迎える前におさらい
江田集落
神山町に移住をして早6年目を迎えました。
移住して間もない頃、祁答院さんに紹介されて訪れた”江田集落”
農業をやりたいという若者の思いと、この集落で行われていた事業がマッチし、農作業のお手伝いをさせてもらったのがつい先日のように感じます。
5年間、自然と向き合い、試行錯誤を繰り返しながら無化学肥料・無農薬栽培に取り組んで来ました。
今週末20日から6回目の田植えが始まります。
今まで大切にしてきた思いと、そこで感じたジレンマ。その経験を通じて、これから大切にしていきたい形を今一度お伝えしたいと思います。
●「無農薬栽培」を実践する理由は?
1年目の田んぼ。無農薬や有機栽培、自然栽培の意味はほとんどわかっていませんでした。なんとなく無農薬がいい!という理由でやってたのが正直な気持ちです。
一方で、農薬を撒く集落の皆さんや、町内の皆さんの姿を見ていると、食べ物に振りまく薬をゴーグルや、素肌をさらけ出さない防具を身にまとい作業している光景に違和感を感じました。これが、正しいのか、正しくないのかはわかりません!けど、僕自身この光景を照らし合わせ作業に徹したいかと聞かれたら、答えはNOです。
農薬の是非は、答えが出ない問いですが、
食品に安全なものだとは理解しがたいのが大きな理由。
もう一つは、簡略化を避けること。
草抜きなど、時短を目的に農薬を使用することをやめ、できるだけ”手間”を入れる。
多くの”手”と”時間”が田んぼに入ったらいいなという気持ちも込めています。
●無化学肥料(ほとんど無肥料)の意味は?
農業に従事し、自分の実践できる範囲で知識を広げていくと、虫が寄りついたり、作物が変に誇大化する様は一つ”肥料”が問題なのではと感じてきました。自然のあるべき姿と、自然の速度に沿って食べ物を作りたい。そんな想いから、肥料はほとんど使っていません。
ただ、ここにはジレンマもあります。
僕が住む集落は、”菜の花の里”として毎年3月に綺麗な菜の花を咲かせます。集落の皆さんはこの時期、自分たちが育てた菜の花を見に、多くの人が訪れてくれることへやりがいを感じています。
勘の良い方は、お気づきかもしれませんが、肥料を施さない田畑に菜の花を撒いても、うまく咲きません。集落の皆さんは、年2回化成を撒きます。
これが、僕がこの集落で自分が大切にしている想いに沿った形と、現実の狭間にある問題です。
5年間、イチ移住者の思いを半分目を瞑りながら見守ってくれた皆さんですが、集落が大切にしている”あるべき形”に向き合いきれてなかった自分もいます。移住者に寛容な町の指針もあるけれど、集落が大切にしている想いにもしっかりと向き合いたい。みんなが笑顔になれることと、自分の思いをどう合わせていくかずっと悩んで来ましたが、自然栽培については、これから先長い人生の一端でより実践的に取り組めるチャンスが来る。
それよりも、菜の花を綺麗に咲かせ、集落が元気になり、菜の花以外でも生きがいを見出してもらいたいと偽りなく正直に感じれるようになりました。この1年ずっと悩んできたけど少し余裕を持って見つめることができてきたとおもいます。
長くなりましたが、江田集落で管理する田んぼは
今年から1度だけ有機肥料(菜種)を施します。※農薬は絶対に与えません。
僕が思う農業の在り方。
その一つである自然栽培が正しく理解されたとき、初めてこの場所で自信を持って取り組んでいこうとおもいます。
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